あおやぎ珈琲

猫とコーヒーと物語のブログ

手作りお味噌

むかし、むかし、あるところに……といっても、これは、昨年のわが家のおはなしです。
昨年の2月、お味噌(みそ)を仕込みました。
春、夏と季節が過ぎ、9月になりました。そろそろお味噌の熟成が完成し、食べられるようになるころでした。

でも、わたしはお味噌の容器を開けることができませんでした。
なぜなら、「手作り味噌は、表面にカビが生えることがある」という話を味噌を仕込んだ後に聞いたからです。
今年の夏も暑かったですが、昨年の夏も暑く、長雨が続きました。
(あんなに暑かったりジメジメしたりしていたのだから、カビが生えているにちがいない)
と思ったのです。

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▲妄想したお味噌のイメージ

 

お味噌のことは気になりますが、容器のふたを開ける勇気がないまま、さらに時は過ぎていきました。
しかし、カビていたらいたで、なんとかしないといけません。
ある日、わたしは勇気をふるって、お味噌の容器のふたを開けました。

ばーん、とそこにあったのは、黒い汁。
わたしはショックを受けて、ひゃあっとさけびました。
動転して、でもなんとかしなきゃと思って、キッチンペーパーで黒い汁をふき取りました。

ふき取った後に現れたのは、お味噌でした。思っていたカビだらけの状態ではありません。麹のつぶがいくつか黒くなっていたので、それを取り除いて食べてみると…
(うっ、これ、ふつうにお味噌だ! というか、ふつうのお味噌よりおいしい!)

なんと、お味噌は無事に完成していたのです。
わたしがあわててふき取った黒い汁は、「たまり」とよばれるもので、調味料にもなるものだそうです。熟成の過程で表面ににじみ出て、味噌をかびから守るはたらきをするとか。
調味料になるのなら、ふき取らずに活用すればよかったのですが、後の祭りです。

さて、完成したお味噌ですが、入れた塩が少なかったのか、市販のものよりは塩気がうすめです。が、香りは段違いに手作りのほうが上です。
お味噌の容器を開けると、ぷ~んと甘い香りが漂います。その香りは、日本酒の吟醸香(フルーツのような香り)にも似ています。おみその容器のふたを開けると、わが家の飼い猫なっちゃんが(なになに? おいしそう)って顔して近づいてくるほどです。

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それ以降、毎日、手作り味噌を使ったお味噌汁をつくっていました。食べても食べてもお味噌がある、というのはなかなか豊かな感じです。こんなにうまくできるのならと調子にのって、今年は3倍の量を仕込みました。
今年のお味噌はうまくできているか、そろそろ開けてみようと思います。

今日はこれでおしまい。