なべつかみは、おふとんの要素がある
キッチンでいちばん幸せを感じさせるものは、何でしょうか。
わたしは「なべつかみ」じゃないかと思います。
なぜなら…
「なべつかみ」の登場は、お料理の終盤です。
できたかな、味はどうかなとお鍋のふたを開けるとき。焼けたクッキーがのったオーブンの天板をとりだすとき。できあがったあつあつを食卓へのせるときに登場します。
あのふかふかしたのに手を入れまして、お鍋のふたをとると、ふわあっとあたたかい、いいにおいが! あるいはオーブンの天板にのったクッキーが香ばしいかおりをはなちます。
だから、「なべつかみ」の登場は、おいしい料理のできあがりを予感させるのです。
それが幸せ感につながっているのです。
また、「なべつかみ」には、おふとんの要素がふくまれています。表面はぬのでおおわれていますが、中にはわた状のものが入っていて、まるでおふとんを手ぶくろにしたみたい!
おふとんは、もれなくあたたかさとここちよい眠りを予感させます。
だから、おふとん要素のある「なべつかみ」は、幸せ感をかもしだすのです。
そしてそして、あのかたち! ミトン型!
熱くなく、ちゃんとつかめることを追求したら、いぼいぼのついた五本指のゴム手ぶくろに行きつくにきまっています。でも、そんなのは、まるでトカゲです!
▲左は、架空の商品です。右はふつうのなべつかみ
ところが、どうでしょう。「なべつかみ」は、ゆったりとまあるくて、つかめるんだか、つかめないんだか、いや、つかめるんですが。そういう、あいまいな、ゆぅるい形をしております。
あの形が幸せじゃなかったら、どんな形が幸せっていうんでしょう。
ね、「なべつかみ」はなかなかに幸せなものでしょう。
ひとつあると、目にとまったとき、ふっとこころに幸せな気持ちがよぎるかもしれませんよ。
今日は、これでおしまい。