あおやぎ珈琲

猫とコーヒーと物語のブログ

月の光は何色

子どもだったころ、月の光は青い、あるいは青みを帯びている、と思っていた。

隣の家の屋根が瓦でできていて、月の明かりでぴかぴか青く光っていたような記憶がある。

そして、自分が月光に照らされると肌は青白く見えていた。

でも、今、月の明かりを見ても、青さは感じない。

月光の下にある屋根を見ても、水面を見ても、土を見ても、青さは感じない。

あくまでも透明で、こころのなかで受ける印象も透明か黄色という気がしている。

moon3.jpg

月の光の色が変わってしまったとは考えにくいから、こちらに原因があるにちがいない。

小さいころと大人になってからでは色覚に変化があるとか。

青と思い込んでいるから記憶も青に染まってしまったとか。

ほんとうは今も青いのに、それを感じ取る能力がなくなってしまったとか…。

月の光に色はないと思うようになっても、記憶のなかの月の光は青い。

わたしは青い月光をかかえている。

それでも、丸い月がのぼると、青のかけらがどこかに落ちていないか探してしまう。

また、青い月の光が見たい。

今日は、これでおしまい。