あおやぎ珈琲

猫とコーヒーと物語のブログ

切手が本物かどうやって見分けているのか

01 切手はお金の代わり

切手は、お金を先に払い、お金の代わりに郵便物に貼りつけるもの。 とくれば、お金の代わりをするわけですから、それが本物かどうかというのは大切なことのはずです。 しかしながら、切手には、たくさんの種類があります。定番の切手のほかに、アニメの柄だったり、観光地の景色が描いてあったり、記念切手なんかもあります。こんなに種類があれば、どんな絵柄があるかというのは、把握しきれないでしょう。では、どうやって切手というのは本物か偽物かを見分けているんでしょうか。

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02 切手を統べる者たち

わたしの頭に浮かんだのは「切手じい」の存在でした。 切手のことならなんでも知っているおじいさんです。地域に必ず一人います。ローマ法王を決定するコンクラーベのように、「切手じい候補」に挙げられたおじいさんたちが集まり、だれが一番「切手じい」にふさわしいのか協議し、選ばれるのです。

「切手じい」は、郵便局が開いているときに活躍しますから、もうお仕事を引退したおじいさんが担います。候補の中の一人には、5年に一度の切手コンクラーベを心待ちにしていたのに、かわいい孫を雨の中迎えにいったことで風邪をこじらせあっけなくこの世を去ってしまったおじいさんがありました。 でも、そんな悲しい出来事にも負けず、おじいさんたちは集まり、切手コンクラーベを開催するのです。白熱した協議のすえ、「切手じい」がどうどう選ばれます。決まってしまえば、あとはみんな切手が大好きな者どうしです。楽しいお酒をくみかわして夜は過ぎていきます。 そして、うたげのお開きの際は、切手じいになれなかったおじいさんたちは、万が一「切手じい」にわからない切手が出てきた際には、だれもが知恵を惜しまず出し合う仲間であることを誓って自分たちの家に帰っていくのでした。

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いっぽう、郵便局には「切手じい担当」という影の役職がありました。それは、新人が任命されます。新人ですから、切手のことも郵便のこともまだ分かりません。

判別できない切手が出てくると「切手じい」のところへ聞きにいきます。 初めは反発するのですが「切手じい」の深い知識と郵便の仕事に対する愛情に打たれ、だんだんと自分の仕事に対する責任と愛情が生まれていくのです。でも、切手のことが分かれば分かるほど、「切手じい」に会いにいく機会は減っていくのでした。…という妄想をしました。

03 切手の判別の仕方

調べてみますと、切手が貼ってあるかどうかは機械のセンサーを通して判別するのだそうです。切手はセンサーに反応する特殊なインクで印刷されているのです。これはここ十数年の話で、それ以前の切手はセンサーにひっかからないので、別の機関へ回され、判別されるのだといいます。「切手じい」がいるとしたら、このあたりでしょう。

そういえば、昔の切手って、お札みたいに細かい線で描かれていましたね。最近の切手は、のっぺりした感じです。インクを特殊にすることで偽造をふせいでいるので、精巧なものをつくる必要がなくなったのです。だから、デザインや傾向が変わったのだと思います。

「切手じい」はいないかもしれないけど、いつも何気なくつかっている切手も、機械を通すと反応するような特殊なインクが塗られているなんて、わたしたちに見えない世界があるみたいで、ちょっとわくわくしますね。

今日は、これでおしまい。