あおやぎ珈琲

猫とコーヒーと物語のブログ

わるもののカラヴァッジョ

上野の国立西洋美術館で開催中の「カラヴァッジョ展」を観にいきました。
カラヴァッジョは、バロック美術に大きな影響を与えたといわれるイタリアの画家です。
この展覧会では、カラヴァッジョの作品だけでなく、カラヴァッジョの影響を受けた画家たち(彼らのことをカラヴァジェスキというそうです)の作品もたくさん展示されていました。
多くのカラヴァジェスキの画家の作品に比べ、本家のカラヴァッジョの作品は、抜群に面白かったです。
彼の作品は、顔の表情が豊かで、指の一本一本にまで気持ちが宿っているようです。
「トカゲにかまれる少年」という作品がありまして、これは、トカゲに指をかまれた瞬間の少年の驚きを描いたもので、タイトルのまんまなのですが、
「なんでこんなところを絵にしようと思ったのだろう」
「それにしてもこの顔や異様にねじった身体など、驚きすぎじゃないの」
と、いろいろ興味がわいてくる作品なのです。
 
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「トカゲにかまれる少年」を珈琲ネコで再現しました
 
その他、水にうつる自分の姿に恋をして死んで水仙の花になったというギリシア神話をもとにした「ナルキッソス」や「法悦のマグラダのマリア」など、印象に残る作品を見ることができました。
 
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▲「ナルキッソス」をカフェオレ猫で再現しました
 
作品とは関係がありませんが、おどろきだったのが、カラヴァッジョは大変な「わるもの」だったということでした。町中での刀剣の所持や食堂での暴行など、しょっちゅう訴えられて法廷に呼び出されていたようです。
カラヴァッジョは1600年くらいに活躍した人物なのですが、法廷での証言がしたためられた法廷調書(手書きの書類)が展示されていて、なんだか、生々しく感じました。
わるものは、わるものだからこそ、おどろきやおそれ、人間のしようがないところ、調子に乗ってしまうところ、そして人を引きつけてやまないところなど、人間のこまかい感情の動きを感じ取っていたのかもしれないと思いました。
ちなみに、カラヴァジェスキのひとりには、日本でも人気の高いジョルジュ・ド・ラ・トゥールがいます。彼の作品は、2作品ほど展示されていました。ちょっとお得な気がしました。
今日は、これでおしまい。