すべてがそろう日
今日は、なにもかもが重なっているというような日でした。
仕事のしめきり、俳句の句会、しかも旅行の出発まで…。
さまざまな方向からいっせいに集まってきたみたいに身にふりかかってきました。
こういうときは、あるお話を思い出します。
それは、野宿が好きな方がしていらっしゃったお話です。
あるとき、森で野宿をしたのだそうです。ちょうど紅葉で森が色づく季節。
静まり返った森の底の暗がりで、寝転んではらはらと降りかかる落ち葉をながめていると、まわりの木が、いっせいに葉を落したのだそうです。
あまりに多くの葉が垂直方向に落ちたので、自分の体が浮いたように感じたといいます。
その方は言っていました。
「あるんだろうね、そういうときが。今夜、葉を落さないと…と、森じゅうの木が思うようなときが」
ランダムだからこそ、すべてが重なることも起こりえます。
わたしは敷きつめたように鳴く田んぼのカエルの声がぴたっと一瞬だけ止まったのを聞いたことがあります。
それも、きっと同じことです。
今日は、きっとそういう日だったのでしょう。
これから、寝台特急に乗るのです。寝台特急は、夜じゅうかけて目的地に着きます。
みんなが寝静まったときに走りますから、大急ぎって走り方じゃありません。星の下をすべるように静かに走るのです。
なかなかロマンチック。
最近、数が減ってきたのが残念です。
今日は、これでおしまい。