あおやぎ珈琲

猫とコーヒーと物語のブログ

道具は自分で仕立てるもの

秋岡芳夫(あきおかよしお)さんの書かれた「木工―道具の仕立て」

という本を読みました。

この本を手に取るきっかけとなったのは、東京都・目黒区美術館

やっていた「秋岡芳夫全集1」という写真展でした。

秋岡芳夫さんは工業デザインをしていた人で、その作品をカメラに収めた

ものなのですが、一つひとつが記録というよりは写真として美しく、

とてもひかれるものでした。

さて、この本は、木工道具――たとえば、カンナ、ノミの刃――を

どう砥(と)いで仕立てるか、ということが述べてあり、

読者を相当限定していると思われる本なのですが、

はっとするような内容がここかしこにありました。

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秋岡さんは、工業デザイナーとして活躍した人ですが、木工が大好きで、

日曜日には、自分で仕立てた道具を使って木工を楽しむ、ということを

されていたようです。

本の中に、平日の夜にカンナやノミの刃を砥いでおく。

それは、日曜日にする木工のためなのだ……

ということが書いてあり、うわー、かっこいい、と思いました。

準備を怠らない「かっこよさ」でしょうか。

楽しいだけじゃない楽しみをもつ「かっこよさ」でしょうか。

いろいろ要素はあると思いますが、

最適な状態をお金で買わない「かっこよさ」かもしれないと思いました。

自分に合うものを自分でつくりあげられる「かっこよさ」。

この本の中では、たびたび、道具は自分で仕立てるものということが

強調されています。

買ったカンナは、他人のもの。砥いで仕立ててようやく自分のものに

なるのだ、というのです。

この考え方、しびれます。

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また、秋岡さんは、消費をやめて愛用しようということを提唱されています。

わたしも最近、買ってだめになったら捨てる、というのにうんざりしてくる

ようになり、一生モノの道具に注目しています。

今のところ、手に入れたものは

白木屋傳兵衛の江戸ぼうき

・桜の木の洗濯板

これは一生使えるな、と思うものです。大切に使いたいと思っています。

この本に刺激されたので、ぜひ一生ものの「包丁」を手に入れたいです。

砥石も一緒に。

刃物を扱う店に入って、

「ご主人、このお店で一番いい包丁を見せてください。砥石もね」

とか言って。こだわりの店主とやりあって、手に入れるのです。

今日は、これでおしまい。