あおやぎ珈琲

猫とコーヒーと物語のブログ

素顔の向田邦子展を見ました

東京駅近くの八重洲(やえす)ブックセンター8Fでやっている「素顔の向田邦子展」をのぞいてみました。 向田邦子(むこうだくにこ)さんの作品は好きです。読み手とはそう遠くない人々の、でもやっぱり読み手とは違っている日常をリアルにえがき、それがとても腑(ふ)に落ちるというふしぎな短編の書き方。 向田さんの子どものころからの写真と、記事が掲載された雑誌、愛用の服などが数は多くありませんが展示されていました。 向田さんはとてもおしゃれで、帽子にのめりこんだときは、二週間に一度帽子をつくってもらっていたとか、何か月もお給料をためて憧れの水着を買ったとか、そんなエピソードのついた写真がいくつもありました。 どの写真も、撮られることをとても意識した写真です。いや、カメラマンにどう撮られるかというよりも、その写真を手にした人にどう見られるかということを意識しているという感じ。 そのひとつひとつがとても美意識の光るものだったので、わたしの頭には、気に入らない自分の写真をこっそり捨てる向田さんの姿が思い浮かびました。 doll.jpg 会場では、『思い出トランプ』という作品の朗読を流していて、これが聞いていてとても安心する語り方だったもので、気に入って購入しました。 わたしはラジオが好きなのですが、最近、番組内でレポーターの方が「これって、めずらしいじゃないですか~ぁ」というような話し方をしているのを聞いて、なんだか懲りてしまったのです。 その他の番組でも、とても相手に刺激を与えるように話す人が多いような気がして、そわそわが止まりません。 わたしは落ち着いて何かを聞きたいのです。人生をとても深く味わった人の、思いやりや気配りや知性や寛容を身に付けた人の、落着きのある声に耳を傾けたいのです。 朗読CDってよいかもしれないと思いました。次は、詩の朗読CDなども探してみようと思っています。 今日は、これでおしまい。