あおやぎ珈琲

猫とコーヒーと物語のブログ

空を恋しがるねこ

わが家にやってきて、トイレの猫砂の上に居座っていた元地域猫なっちゃんでしたが、数日後にはふつうにねこベッドの上で過ごしてくれるようになりました。
トイレも覚えてくれたし、このまま少しずつ慣れていってくれたらいいな、と思っていましたが、そうは簡単にいきません。
そもそもわたしは、大きな勘違いをしていたのです。
外は寒い、外は危険がいっぱい。だから家猫になったら、ねこは幸せになるだろうと思っていたのです。
でも、なっちゃんは外を恋しがっていました。
部屋のドアのすき間から流れてくるわずかな空気をいっしょうけんめいかいで、ドアの外に出たがったり、天井をじっとながめて青い空を探したりしていました。
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空はどこだ
ねこという生き物は、「この暮らしがずっと続けばいい」と思っているようなのです。たとえ、それが外の過酷な環境であっても。
そして、「自分の居場所は自分で決めたい」と強く思っているようなのです。
引っ越し先からいなくなった猫が何日もかけて元の家に戻っていたという話や、帰省先で迷子にしてしまった猫が家に戻ってきたという話をときどき耳にしますが、それはこういうねこの性質から生まれてくるのではないかと思います。
なっちゃんも、急に見たこともないところへ連れてこられ、檻(おり)のような狭いケージの中で過ごすようになって、相当なストレスだったのでは、と思います。
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今がずっと続けばいい
わたしは、なっちゃんが外を恋しがる姿を見て、
(本当に、うちに引き取ったのは、なっちゃんにとって幸せだったのかな? もしかして、外猫として自由に暮らして地域の人たちからかわいがってもらっているほうが幸せだったのかな?)
と思いました。
でも、いっぽうで、
(いつか、なっちゃんが、この家で過ごした先に、「この暮らしがずっと続けばいい」って思ってくれる日がくるかもしれない。そういう日がくるように、がんばろう)
とも思いました。
なっちゃんは、不安がっていると思ったらご機嫌になって甘えてごろんとしたり、様子がくるくる変わりますので、それを見てわたしの気持ちもくるくる変わります。
しかし、時間が経つにつれ、なっちゃんが何をいやがっているのか、どう過ごしたいと思っているのかが、わたしにも少しずつわかりはじめてくるのです。
今日は、これでおしまい。