宝くじを必ず当てられる男に出会った話! なぜわたしは宝くじを買わなかったか。
宝くじを必ず当てられる人はいるでしょうか。
わたしは「必ず当てられる」と言う人に出会ったことがあります。
今日は、そのおはなしをします。
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01 出会い
わたしは、いつもぼんやり歩いているので、よく人に声をかけられる。
キャッチセールスもそうだけど、道がわからなくなった人とか、自分の話を聞いてほしいだけの人とか。
とにかく、話しかけやすい顔をしているんだと思う。
その日は、デパートの催事場で骨董市をやっているというので、足を運んだのだった。
古びた食器やら掛け軸やらを眺めているときに、エスカレータで上がってきたおじさんに呼び止められた。
「あなたは、ロト6というのを知っていますか?」
わたしは、何か探している骨董品の場所かなんかを聞かれるのだと思ったので、おじさんの言葉が聞き取れなかった。
「え?」
「ロト6って知っている? 宝くじの一種で、6つの数字を選ぶやつなんだけど」
「ああ! それ、好きで、ときどき買ってますよ」
「あのね、私は、当たる数字が分かるんだ」
「……」
おじさんは、とても早口に言って、あわてて胸のポケットから黒く光る手帳を取り出した。
「私が言う数字を買ってくれない? それは必ず当たるから、二人で山分けしよう」
「えっ、じゃあ、自分で買えばいいんじゃない?」
「あなたは、ロト6に当たる顔をしてるんだ! 私は数字しか分からない。でも、私が買っても当たらないんだ」
わたしは、おじさんの言っていることが分からなくなって、おじさんに連れて行かれそうになるのも怖くて、「いりません」と言って、その場を去った。
02 考察
この話を他の人にすると、必ず「買えばよかったじゃない!」と言われる。
ひとりめは、冗談だと思った。だけど、次にこの話を聞いた人も、その次にこの話を聞いた人も、「買えばよかったじゃない!」と言う。
わたしは、自分の判断は間違ってなかったと思っていたけど、みんなにそう言われるのなら、自分の判断が違っていたのかなーと思った。
そこで、考えてみた。
わたしは、宝くじが当たったところで、おじさんともう一度会わないといけない。そのためには、メールアドレスを交換するなど個人の情報を知らせないといけない。それは嫌だ。
が、おじさんと二度と会わないで、宝くじを山分けする方法があったのだ。
おじさんが言ったことを整理すると、
1、おじさんは、当たる数字が分かる。
2、おじさんが買うと、当たらなくなる。
3、わたしがおじさんに教えられた数字のくじを買うと、当たる。
ということだった。
このくじを1枚買うからいけないのだ。
おじさんが言った数字のくじを、わたしが2枚買えばいい。
ロト6は、1等が2名出れば、当選金額が山分けされて支払われる仕組みになっている。
つまり、同じ数字を2枚買って、お互いに持っていれば、条件の1~3がすべて整い、しかもわたしとおじさんは次に顔を合わせることなく、当選金を手に入れられるのだ。
03 わたしの出した結論
なーんだ、わたしが話した友達は、こういうことを瞬間に理解して「買えばよかったじゃない!」って言っていたのか。
だけど、わたしは、またあのおじさんと会って、同じ話を持ちかけられても、やはりくじは買わない。
なぜなら、そのおじさんは、ソフト帽をかぶって、ベージュのマフラーをして、紳士に見えたけれど、色が妙に青白くて、とても鋭い歯をしていたから。
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自分で体験したことと、その後に考えたことをお話ふうに書いてみたよ!
今日は、これでおしまい。