人間の自然治癒の力について2
前回 からのつづきです。病気の原因がわかった途端、劇的に回復に向かうという話。
これはフロイトの治療例にもありました。話がこころのほうに飛びます。
01 神経症が治った話
アンナという女性がどうしてもコップから水が飲めなくなりました。
その神経症の症状を治療するため、フロイトは催眠術をかけ、無意識にある記憶をよびさまします。その記憶とは、彼女のきらいな使用人の女性が、飼っていた小犬にコップで水を飲ませているのを見たという記憶でした。それを見てアンナは不愉快に思ったのですが、不快のために記憶から削除されていたのでした。それを語った途端、アンナは水が飲みたいと言って、コップから水をごくごく飲んだといいます。(注1)
無意識にあった不快な感情(原因)を意識したことで、症状が治ったのです。
精神分析の分野では、この後、トラウマ探しというのが行われるようになりますが、その過程で、トラウマが幻想の場合があるということがわかってきます。
催眠状態で虐待の記憶がよびさまされたのに、現実にはそんな事実はなかった、でも虐待の記憶を認識した途端に神経症は治ってしまう、ということが起こったのです。(注2)
つまり、現実でなく幻想であっても、自分のこころが無意識に傷と感じていれば、それが病気を引き起こし、治療の過程でその関係を認識した途端に病気が回復に向かうということです。
02 安倍晴明が天皇の頭痛を治した話
平安時代に、安倍晴明(あべのせいめい)が花山(かざん)天皇の持病の頭痛の原因が、岩の間にはさまっている天皇の前世の頭蓋骨のせいだとつきとめたというエピソードがあります。
探させたらその通りに頭蓋骨が出てきて、それを葬ったら頭痛が治ったというのですが、これも同じことを感じさせます。
なるほど! と思った瞬間に治るという…。
人の身体とこころってふしぎ。
03 ヒーリングで病気が治る
最近耳にする「ヒーリング」の本を読みますと、患者の話を聞いているだけで顔色がよくなってくる、表面的でない身体の不調の原因を見つけると、痛みが治るということが書いてあり、患者に触れずに治療することができるんだそうです。痛みというのは、身体のうったえだから、その原因に気づくと痛みは役割を終えて消えてしまうのだとか。(注3)
病気とか、痛みとかって、何なのかなあ?
04 病気ってなんだろうね?
どうしてこんなことを考え始めたかといいますと、認知症になると、今まで病弱だった人が元気になる例があるという話を聞いたり、薬の薬効というのが4~8%で、多くはプラシーボ効果で痛みや不調は治っているんじゃないかという意見をツイッターで見たりしたからなのです。
身体の声を聞く、身体にブレーキをかけるようなこころの持ちようを変える、そんなことが大切なのかなあと思ったのでした。
とりとめのない話でごめんなさい。
今日は、これでおしまい。 (注1)(注2)…川嵜克哲著「夢の分析 生成する〈私〉の根源」(講談社)を参照しました。 (注3)…橋本典之著「接骨院の先生が実践する 触れずに治すソーラ・ヒーリングメソッド」を参照しました。